いやー、みなさんご無沙汰しております!毎日特注ケーブルの製作やケーブル修理に邁進しておりまして、ブログが滞っておりました。おかげさまで色々なブランドのケーブルを分解して、中身を見ることができて大変勉強になります。
エレクトラグライドの電源ケーブルの端末取り換えはとっても大変だったけど面白かったです。ステイトメントという品名のかなり硬めの電源ケーブル。正規輸入はされていないけど、音質の良さからコアなマニアの方々の所有率が高いブランド。
レビトン(LEVITON)の工業用と思しき黄色い電源プラグ。
オペ開始!エレクトラグライドをみじんこ愛用の医療用メスで開腹。どんな構造になっているかわくわく。
熱収縮チューブを剥がした後、ハーネステープと思われる粘着テープを解いていく。
テープを解いて出てきたのは、やはりレビトンの電源プラグでした。シリコーンシーラントでケーブルの引き出し口が固められています。
銅の平角線がコルゲートチューブに通されているというびっくりな構造。HOTとCOLDには銅の平角線用いられており、裸線の状態でコルゲートチューブに通されて、プラグに引き込まれています。銀色の編組チューブは、中にアース線が入っています。
導体の平角線の端末はかなり傷んでいたので、先端1cmほど切り落としました。金属磨き布やクリーナーで徹底的に汚れを落とします。
万が一のショートを防ぐため、フッ素樹脂テープで保護。写真には写してませんが、さらにフッ素樹脂チューブを被せます。手前のTBCに包まれた2本の線は、エレクトラグライドのアース線。銅単線で、フッ素樹脂チューブに通してあります。
クライアント様とご相談の上、フルテックの電源プラグFI-11M-N1(R)、IECコネクターにFI-12L(G)を取り付けて、ロジウムと金の音色をミックスすることに。FI-11M-N1(R)はとても綺麗なブルーカラーのハウジングが印象的。この手の極太電源ケーブルは内クランパー式の電源プラグでは開口が小さく作業しにくい。よって、外クランパー式のFI-11やFI-12、またはハウジングが観音開き式のFI-15あたりを使うのが適切。
IECコネクターも取り付けて完成!難易度はかなり高かったです。音出し確認でも、改造前とのかなりの音質アップを確認。解像度が一挙に上がり、ステージが眼前に広がるような印象で。これはIECコネクター最高音質のFI-12Lの効果がとても大きいと感じます。クライアント様からは我が家の家宝にするという、ありがたいお言葉を頂戴するほど、音質の向上をご実感いただけたようで、ケーブル職人冥利に尽きる事例でした。プラグ代金含めて工賃3万円弱だったか。
こちらは壁コンセントベースの特注品。壁の柱ぎりぎりのところに壁コンセントがあるとのことで、クライアント様から右側を大幅に短縮した壁コンセントベースを作ってほしいとの依頼で製作したもの。材質はパドック(カリン)。かなり硬い木材で、叩くとコツコツという固い響きがします。パドックはギターのネックにも使われる木材で、他種の木材に比べて低域重視のピラミッドバランスとなります。ベースの帯域が特に強く、ブルンブルンというベースの弦の響きが眼前に押し迫ってくる、迫力のある音色を有しています。
この特注コンセントベースには15㎜厚のパドック材を使用。前面の角をR3で面取りしました。「AUDIOMIJINKO」の焼き印を押して、オイル仕上げして完成!クライアント様も唯一無二の特注品ゆえ、とても喜んでいただきました。これで7,000円ほど。
こちらはパドックのシングルコンセントベースの通常品。M4のステンレス製40mmネジが2本付属。当店で販売中。
ダブルコンセントベースもあります。
これは今日しかかって完成したアキュフェーズの電源ケーブルの3分割およびプラグの取り付け。1本の電源ケーブルを均等に切断して、IECコネクタや電源プラグを取り付けました。かなり隙間のある銅編組シールドをほぐすと、中から5本の芯線が。赤2本、白2本、緑1本です。赤はHOT、白はCOLD、緑はEARTH。単純なVCT構造かと思いきや、結構手の込んだ造りのケーブルでした。介在は綿で、導体の絶縁は一瞬フッ素樹脂かと見まごう程かなり硬いです。アキュフェーズは、電源ケーブル込みで音造りをしていると度々聞いたことがあります。
こちらも特注電源ケーブル。当店オリジナルの第一弾AM-AC01を購入されたクライアント様からの追加注文。AM-AC03「ヘリックス」をベースに、端末をオリジナルのパナソニックWF5018K+シェルター4781からフルテックFI-11M-N1(R)+FI-11-N1(R)へ変更。2万円弱。元々音抜け抜群のAM-AC03ですが、プラグ変更で飛びぬけてハイスピードサウンドへ!クライアント様はこの電源ケーブルの他にも特注のRCAケーブルもご依頼され、合わせて自宅のオーディオシステムのバージョンアップを図られました。
こちらはクライアント様から依頼されたホームシアター用ケーブル類の端末加工。デスク一杯に広がるゾノトーンケーブルが圧巻!
ボビン巻で持ち込まれたケーブルを当店でカットし、端末にバナナプラグやLANコネクターを取り付け。バイワイヤスピーカーケーブルもやりました。
みじんこ的には、バナナプラグは波型バナナプラグに限ります。安いばね式バナナプラグはもとより、高価な十字スリット入りバナナプラグであっても、抜去を繰り返す後に塑性変形でばね性が消失してヘタってしまいます。一度、ヘタったバナナプラグは、スピーカーターミナルへ挿しこんでもきちんと篏合できないので、音質は劇的に低下します。コレットチャック式バナナプラグは、パーツの紛失や、やはり塑性変形によるばね性の消失が生じやすいです。一方、板状の真鍮を筒状に板金した波形バナナプラグは、ばね性が強く、何度抜き差ししてもヘタリにくく、音質も上々です。当店では厳選セレクトした良質な金メッキ波型バナナプラグを豊富に保有しているので、いつでもスピーカーケーブルの端末加工を承れます。1か所当たりの加工賃は、写真のようなバナナプラグと熱収縮チューブ補強を含めて税別1,500円。スピーカーケーブルは1本あたり両端で計4端末あるので、例えば左右ペアで両端末1,500円×4か所×2本=税別12,000円となります。単なるバナナプラグ取り付けですから、一見、簡単そうにみえますが、熱収縮チューブでしっかり補強し、左右識別シールを張り付けるなど細かい仕事が多く、ここまでやろうとすると、時間にすると丸2日がかりの作業で、意外と大変なんですよ。なにせ、ホームシアターの施工時に、こられのケーブルを壁内に引き込まれるとのことで、引き込んだのちのやり直しはできません。クライアント様がおそらく生涯愛されるホームシアターで、何十年も使用されるスピーカーケーブルになるわけですから、音質は言わずもがな、耐久性も備え、使い勝手も考慮し、かつ外観も綺麗に作らずにはいられません。
当店オープン以来、他にも特注ケーブルを多数製作しておりますが、今日はこのへんで。