先日のことジャズ評論家であり、オーディオ誌にも連載をお持ちの寺島靖国氏が来店くださいました。この日は月刊ジャズジャパンの取材だったのですが、寺島さんがビールをお持ちになられ、お酒が入る中、取材というのも忘れるくらいお店のスピーカーやケーブルたちを聴きまくって楽しみました。ご来店のお客さんも次から次へと参加し、店の中はプチ試聴会の雰囲気に。
寺島さんご持参のフリージャズ(Han Bennink,・Michiel Borstlap・ Ernst Glerum 3)で試聴したのですが、実験音楽のようなハチャメチャで痛快なこのアルバム。これは買わねば!
寺島さんの来訪の前日に、半日かけて製作した極太電源ケーブル。当店のオリジナル電源ケーブルの第二弾の試作品です。導体は非公開。中には振動吸収用のパウダーなどが充填されています。触った感じは結構ふわふわとしています。
この極太電源ケーブル、ケーブル外径は5cmほどありますが、意外と柔軟で曲げやすいです。電源プラグとIECコネクターには、フルテックのFI-15PLUS シリーズを使用。私の手持ちの有名メーカー数社の電源ケーブルに、当店オリジナルの電源ケーブル2種類を加え、電源ケーブルを数種類聴き比べましたが「このぶっとい電源ケーブルが一番いいね、」とおっしゃってくださいました。私からは「まだ使い始めてから数時間なので、こなれていないところがあるんです」とお伝えすると「うん、これは、まだまだよくなりそうだね」ということで、ほっと一安心。
この極太電源ケーブル、ネーミングは検討中。黒ヘビはすでに使われてしまっているし、お客さんの一人は「ゴジラはどう?」だと言ってたけど、うむむ。別のお客さんは、「“うなぎ”にすれば外国人観光客にもうけるかも」と言ってくれましたが・・・。
寺島さんは色が付いているケーブルがお好きなので、私から言い訳がましく「本当はカラフルな色にしたかったのですが、材料調達の都合で真っ黒になってしまいました」とお話ししました。すると「そうだね、真っ黒は面白くないよ。」と予想通りの御答えが返ってきました。
この極太電源ケーブルまだ1本しか製作しておらず、値段も決めてません。現在、追加の材料を手配中で、近いうちに9本製作します。出来上がったら、このブログでお値段含めてお知らせしますね。
こちらの電源ケーブルは今月から売り始めた当店オリジナル電源ケーブルの第一弾。ホームページでは初公開だったかもしれません。で、寺島さんとこの一か月間お店のオーディオシステムに接続して使い続けていた個体と、通電は数日で、その後は展示していた個体とを聴き比べ。前者をとても気に入られて、「これ売ってよ」ということで、ご購入されていきました。
この電源ケーブル、そういえば名前は付けてないのですが、先月末に閉店後にこつこつと夜なべをして10本ほど製作しました。寺島さんご購入にて店頭在庫は残り1本と、これの試作品1本。ほしい方はお早めに。ケーブルは柔軟で、とても取り回しがよいです。柔らかいケーブルは音も柔らかい傾向があり、ややもするとピントがずれたようなもっさりとした音になりやすいのですが、この電源ケーブルは音がふやけることなく、ボーカルもはつらつ陽気で、スパッと明快に歯切れが良いのが特徴です。3.5スケア導体なので、CDプレーヤーなどの上流機器に使ってもよし、パワーアンプなど大電力を消費する機器に使ってもよし、オールマイティに使いまわせます。ちなみに、寺島さんは、お店のパワーアンプLAXMAN MQ-88で差し替え、炭山先生作のスピーカー「ヒシクイ」で聴いてもらいました。
電源ケーブルの試聴は、トランジスタアンプの方が電源に過敏なので差を感じやすく、一方の真空管アンプは電源環境に左右されにくいと、一般には言われますが、当店では今のところパワーアンプでの試聴は真空管アンプで行っていて、十分に電源ケーブルの音質差を感じ取ることができています。実のところ、営業中ずーっとアンプをつけっぱなしているので、真空管の寿命が心配。早めに石のアンプに取り替えたいというのが本音です。
寺島さんは鮮やかな色がお好きでして、店の隅で予備役となっていた、青くて小さな自作真空管アンプを目ざとく見つけられ「この青いシャーシがかっこいいね。家で飾りたいから売ってくれないかな」と。「このアンプ売り物ではないですし、個人製作の自作アンプですよ。しかも最近調子がおかしくてノイズが出るんですよ。」とお話ししても、「いや、家で飾っとくだけで音は出さないので、構わないから。」という問答を5回ほど繰り返した挙句、私のほうが折れて、寺島さんこのアンプをお求めになられました。私はそういう寺島さんの一途な物欲志向が大好きです。
延々3時間弱に及ぶ寺島靖国氏ご来店は、賑やかなうちに終わりました。「アンプ重いですからお送りしますよ」とお話ししても「いや、すぐに家に飾りたいから」とのお言葉。いくら小さいとは言っても、数キロはある真空管アンプを手持ちで持って帰られた寺島さんは、まだまだ元気だな。